・半導体って何?と思っていて、その”存在”を知りたい方
・半導体がなぜ、産業界のコメなのか?すべての製品のカナメなのかを知りたい方
・これから半導体銘柄が飛躍していく理由を知りたい方
半導体?ってなんだろう?そんなに人類にとって重要なの?ぜんぜんわからない。。。なぜ、産業界のコメなのか。つまり、人間にとって「主食」ぐらい重要ってことですよね。ぜひ今後の急成長する展開についても知りたいです。
半導体は、おそらく今の産業界でもっとも必須のものでしょう。
皆さんの持っているiphone スマホ、トヨタの自動車、LenovoPC、Nintendo Switch、データセンターなどすべてのプロダクツには半導体は欠かせないのです。
つまり、産業を創る上での”コメ”というのはそういう意味でもっとも欠かせない基幹部品だということになります。
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1.半導体とは?
半導体とは、多くの電化製品(プロダクト)の制御を行なう上で電気を通したり、電気を通さなかったりすることができる一定の電気的性質を備えた物質です。
導体は、電気を通す物質(例えば、鉄、銅、銀、金、アルミニウム)
逆に絶縁体とは、電気を通さない物質(例えば、油、ガラス、ゴム、セラミック)
上記と比較すれば、半導体とは、ある条件で電気を通す物質であり、ある条件で電気を通さない物質であるのです。半導体という名前の物質や商品名があるわけではなく、電気が通るか通らないかといった原理、技術を応用した物質のことを指している。
半導体の役割は?
それはズバリ、「電気の流れを自由にコントロールできる」ということです。
半導体はトランジスタ(電気の増幅制御)、ダイオード(整流、発振)、コンデンサ(電気を蓄える)などを兼ね備えることで「電気回路」を創った。(アナログ半導体)
もう一つの半導体の役割としてはメモリ(記憶領域)、プロセッサ(計算、演算機能)、センサ(データ取得)などの”機能”を兼ね備えることで情報を制御コントロールできるようになった(デジタル半導体)
電気と情報をコントロールできるようになった半導体は、今日のスマートフォン、パソコンやゲーム機、自動車のすべてに入り動いています。
ちなみに2020年に半導体を最も利用した(消費した)企業が下記になります。
スマホ(Apple等)、モバイルPC(Lenovo等)、タブレット端末と、2020年の在宅勤務需要拡大による需要増加が見て取れますね。
電気と情報をコントロールできる物質=半導体!と聞くとすごいものだとわかりますよね。もう小さな小さなロボットのようなものだと私は思いました。
普段利用しているスマホもゲーム機もあれだけ緻密に動き我々の生活を満たしているものが半導体の集まりというものだと思うと、いかに世の中のプロダクトがこの半導体という物質で成り立っているのかがよくわかります。そして、最も半導体が消費されているのがApple(スマホ)であるという事実はトレンドを表していることに他ならないと思います。2021年、2022年頃にはEVが最も半導体を消費しているものになるかもしれませんし、その時代に要求される産業には必ず半導体が必要になるため産業界のトレンドを表すのが半導体消費ランキングと言えるでしょう。
2.今なぜ、半導体が重要なのか?:5GとCASEが生み出す巨大な需要(ビックウェーブ)
半導体の成長見込み
世界半導体市場統計(WSTS)によれば、2020年は前年比+5.1%成長の見込み、2021年は+8.4%と予測されている。2021年は4694億ドル(約50兆円規模)の予想で2018年頃の好況に近い予測が立てられています。
半導体業界のスーパーサイクル
今、半導体業界のスーパーサイクル(2021-2022)が起ころうとしています。
従来、半導体産業は好不況を3―5年で繰り返す「シリコンサイクル」が起こります。しかし、IoT(モノのインターネット)の技術革新により、17―18年にはスーパーサイクルに昇華。19年には米中貿易摩擦の不透明感などが要因でマイナス成長に転じたものの、20年以降は5G需要の伸びで再びスーパーサイクルに突入しようとしています。
・2021年1月15日日経新聞記事 TSMC、2.9兆円設備投資 今期、半導体需要急拡大
半導体需要の急拡大で21年12月期の設備投資は、過去最大の280億ドル(約2兆9千億円)を見込む。
TSMCの魏哲家・最高経営責任者(CEO)は同日開いたオンラインでの記者会見で「世界の半導体市場(メモリー除く)は今年8%成長する見通しで、当社の売上高も15%増を見込む」
・2020年11月7日日経新聞記事 東京エレクトロン 河合利樹社長「来年から再来年はビッグイヤーズ」
次世代通信規格「5G」の普及を追い風に、世界の半導体前工程製造装置の市場規模が2020年に10%超成長するとの予測を公表した。21~22年はビッグイヤーズになる。
短期的には、2020年のコロナ禍により自動車の生産がストップして、半導体需要が減少しました。しかし2020年の後半からは在宅勤務をはじめとして機器の半導体需要が盛り上がり、さらには、2021年からはコロナ収束から景気上昇により自動車の需要の拡大が見込まれています。現在、車載用半導体は、世界で供給不足が発生しており供給を大きく需要が上回っている状況です。
半導体は、技術革新が大きな需要をもたらす業界と言ってよいでしょう。
これから起こる技術革新は2つです。
注目すべき2つの技術革新
・高速通信5Gの需要の波
5Gは、日本でもついにサービスが開始された、次世代の高速通信ネットワークです。
従来の4Gと比べて100倍の速度、1/10の遅延で、100倍のデバイスが接続可能。
超高速・多数同時接続・反応性の速さがウリです。
5Gは4Gよりもさらに高い周波数を使うために、従来よりも基地局を大量に設置する必要であり、5G関連費用への投資は日本の携帯キャリア各社で数兆円ほどの大規模投資です。具体的には、日本のキャリア3兆円、世界での5G設備投資100兆円、経済波及効果500兆円と言われています。(日本の国家予算は年間300兆円)
・CASE(次世代の自動車トレンド)の需要が急拡大
これからの自動車は5Gネットワークに接続され、高度な自動運転が可能になります。多くの車はEVになり、それがシェアリングサービスに発展します。すでにテスラがその有名な企業ですがその他の会社も間違いなくこのCASEに代表されるトレンドを追う需要が拡大するのです。
■CASEとは?
C:Connected(ネットワーク接続)
A:Autonomous(自動運転)
S:Shared&Service(カーシェア)
E:Electric(電動化)
こうした自動車の高度化の主役は半導体になります。
400兆円もの巨大産業市場を持つ自動車産業は半導体なしに発展はありません。今後この半導体が車の発展を大きく進めるキーになることは自明でしょう。
今、半導体業界は買収に次ぐ買収で業界再編が大きく進行中です。
・ルネサスは、年間3000億円以上を通信インフラやIoTの領域で収益化しており、Intersil、IDT、2021年には、Dialog Semiconductorを買収して通信用半導体を強化。
・ソフトバンクグループは、半導体設計企業であるARM社を2016年に3.3兆円の大金で買収。2020年にはさらにこれをNVidia社が4.2兆円で買収しました。
・AMD社が3.7兆円を投じて2020年にFPGAの最大手であるXilinxを買収。
・韓国のSK Hynix社が、2020年にIntelのNANDメモリ事業を9500億円で買収。
どの企業も5GとCASEのビックウェーブに備えて激しい競争を繰り広げていることがよくわかるかと思います。
3.半導体の業界構造とは?
簡易的な図になりますが、現在の業界マップ市場を作成してみました(※概略のためご容赦を)
■世界半導体業界マップ
今までは、製品・メーカーが自社に半導体部門を持って垂直統合型に半導体を製造してきました。
1990年代にはIntelが半導体そのものを開発して提供するようになり、設計から製造までを担い、メーカーに納品するという流れが起こりました。
その後、半導体の高性能化は益々激しくなり、半導体の設計メーカーと製造メーカーが別になり、ファブレス企業とファウンドリ企業という水平分業型モデルへと変遷を遂げてきています。
大きくは半導体に関して言えるのは3つの分業化になっています。
1.半導体製造企業:TSMC,SUMSUNG
2.半導体設計企業:NVIDIA、AMD、QUALCOMM
3.半導体装置製造メーカー:APPLIED MATERIALS、ASML
4.半導体で注目の2銘柄:王者TSMC,独占ASML
さて、この半導体業界におけるキーは誰なのか?というと非常に多岐に渡るプレイヤーがおり一概に決めることは難しいのですが、注目すべき企業は2社あります。
1.TSMC 半導体製造(ファウンドリ)企業の王者
台湾セミコンダクターTSMC(ティッカーコード:TSM)
・TSMCは、半導体の製造に特化した台湾の企業であり製造の世界シェアは55 %と過半を占めています。
・TSMCの2020年売上高は、1339Bn台湾ドルに達し、前年比で25%増加。過去10年のCAGR(平均成長率)12%を大きく上回る成長を達成。営業利益率は42.3%(2019年34.8%)となっている。
・半導体製造技術は、既にIntelを追い越しており、Intelの2年半先を行っている
・大規模な設備投資の要求されるファウンドリ業界において、新規参入者の脅威は極めて小さい
TSMC:NYの株価はうなぎのぼりに上がっています。
2020年5月頃は50$前後でしたが、2021年2月では130$程まで2倍以上にあがっています。
2.ASML 半導体装置製造における欠かせない独占メーカー
・ASMLは、オランダの起業で半導体露光装置で世界最大手。市場シェア80%を超えています。
・最先端の半導体である7nmプロセス半導体の製造におけるEUV露光装置は、市場シェア100%
・最新のEUV露光装置の1台あたりの価格は、200億円程度と言われています。2020年は年間31台を販売し、2021年は40台を予定。毎年+27%増で販売台数を増やしている。
・営業利益率は2019年12月期4Q31.6%から2020年12月期4Q35.4%へ改善し、増収増益を維持
半導体製造の世界では、研究開発費=技術力=業界内競争力です。
TSMCは、2020年12月末の保有現預金残高は約3兆円あり、過去の設備投資は営業キャッシュフロー内でコントロールされているそうです。お金がある分、研究開発にも多額のお金が投じられており、業界最先端の半導体を開発できる企業はもはやTSMCしかない状況になりつつあります。2020年の後半からの需給が大きく、年末年始以降自動車生産上のボトルネック化を受け、半導体価格決定権はファンドリー側、特にTSMCとなっている模様です。
ASMLは、最先端の1台200億円もの半導体露光装置を開発することでいくつも存在する製造工程におけるボトルネック箇所を完全に握っています。TSMCも、もはやASMLなくしては最先端の半導体を製造できることはできないので、頼らざるをえない構造になっていると考えます。利益率が35%とTSMCの42%には劣りますが間違いなく恐ろしいほど素晴らしい営業利益率だと思います。
4.おすすめの半導体ETFのご紹介
今回の半導体に興味はあるけれども、個別銘柄ではなく、まずは半導体ETF「SMH ヴァンエック・ベクトル・半導体ETF」から入りたい方はこちらがおすすめです。
より、過去5年で+2200%の超ハイパフォーマンスで大きな利益を得たい方向けには、3倍レバレッジ半導体ETF「SOXL」がおすすめです。
まとめ:半導体は、景気回復の急先鋒になる!!
ここまで半導体テーマについて話をしてきましたので最後にまとめたいと思います。
1.半導体は、電気を通したり、電気を通さなかったりすることができる一定の電気的性質を備えた物質である。半導体の役割は、主に電気を自由にコントロールできる物質であり、さらに情報を取得でき、記憶もできることで情報をもコントロールできるものである。
2.半導体業界の規模は50兆円規模で、今、半導体業界のスーパーサイクル(2021-2022)に入りつつある。来るべき高速通信5Gの需要の波とCASE(次世代の自動車トレンド)の需要が急拡大しており、直近ではコロナ収束後の自動車業界の半導体不足懸念で圧倒的な需要が発生している。
3.半導体業界は、ファブレス企業(半導体設計)とファウンドリ企業(半導体製造)という水平分業型モデルで構成され、さらに半導体装置製造メーカーも群をなして形成されており業界内の活発なM&Aも大きく動いている巨大な企業群となり、市場規模を毎年さらに拡大している。
4.TSMCは、半導体製造(ファウンドリ)企業の王者であり、シェア55%で利益率42%と驚異的な巨大企業へと成長している。ASMLは半導体装置製造における欠かせない独占メーカーであり、シェア80%を超えて、利益率35%と驚異的な独占装置開発企業のポジションを築いている。
TSMCは2021年12月期に大型設備投資を行うことを決定しました。それに対してサムスンも追随すると思われます。あきらかに大きな半導体設備投資ブームが起こり始めています。
これからコロナ後に向けて経済は大きく回復してきます。そうなれば人は車に乗り、モノを買い、サービスを受けるようになれば大きくその需要は跳ね上がるでしょう。その中で半導体は、景気回復の急先鋒になると私は考えています。
もはや、産業界は半導体なしには生きていくことはできず、産業界のコメとして多くの製造メーカーやサービス企業における飯になることは間違いないのだと思います。ぜひ半導体企業に注目してこれからの成長に期待しましょう。