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最近、金利が上昇してきた!、金利が下がってきた!とよく聞くけれどもそもそも金利って何? 世の中において、金利が与える影響というものはなんなのかよくわからない。
・金利とは「預金や貸付に対する利子」のことをいいます。なぜ、これほどに金利が注目されるのかといえば、金利は生活や株価に影響を与えるものだからです。
・身近なことでお伝えすれば、住宅ローンの金利も住宅を買う上で借りる金額の利子になりますので、金利が大きく影響しますよね。
・それと同様に株に対しても金利は影響を与えるのです。今回はその金利というものを解説するとともになぜ株価にこれほど影響を与えるものなのかを解説したいと思います。
金利とは?
まず金利とは何でしょうか?
金利は身近なところでは以下のような部分でも関わりがあります。
例:銀行口座にお金を預けると金利を受け取れる(銀行にお金を貸しているから)
住宅や車のローンを組むと金利を支払う(銀行にお金を借りているから)
景気と金利の関係は?
次に金利と景気の関係を考えてみます。
好景気のとき
好景気のときは、モノやサービスが大量に売れるので企業は積極的に設備投資や原材料の購入をします。モノやサービスが売れれば、会社の収益が増え、働く人の給与が増えるので消費が促進されます。
結果として、お金の需要が高いため、お金の価値が高くなるので、当然ながら貸し付ける側の銀行も資金需要があるならば、儲けるために、お金を貸し付ける利子=金利も高くしようとするため、金利が上昇することになります。
不景気のとき
逆に、景気が悪くなるとモノやサービスが売れなくなってしまうので、企業は設備投資を控えたりモノを作る量を減らします。企業が儲からなくなれば、会社員の給料やボーナスも増えませんので、個人消費抑制されます。
結果として、お金の需要が減るため、お金の価値が低くなり、当然ながら貸し付ける側の金融機関はお金を借りてくれないと商売にならないので、お金を借りてくれるひとを増やすために、金利をどんどん低くしていきます。金利が低下するのです。
お金は常に必要な人に届けられ、供給されます。その際に動くお金が需要と供給で成り立っているならば、それは、貸し借りする利子=金利というものが必要に応じて変わるのは自明でしょう。
景気と不景気は常に繰り返し訪れるため、この金利は上がったり、下がったりと景気に応じて変動する人の判断を決める基準といってもいいでしょう。
判断を決める基準であるがゆえに、経済において最も重要な指標であり、その動き如何によっては大きな影響をもたらすのは我々の生活なのだと思います。
ですから、金利動向というのは常に注視すべき重要なものです。
金利はコントロールできるのか?できないのか?
さて、この変動する金利ですが、通常は、需要と供給で決まるのですが1年未満の短期と呼ばれる金利(=短期金利)に関しては中央銀行(アメリカ:FRB連邦準備銀行)によって決めることができます。
逆に1年以上の長期と呼ばれる金利(=長期金利)は、市場が今後(1年以上あと)どのような方向に向かうのかその期待値によって決まります。具体的には債券というものが発行され、投資家がその長期の利回り(1年、3年、5年、10年、15年、20年、25年、30年等)の債券を売買する需給で決定されます。
まとめると以下になります。
金利は、「短期金利(1年未満の債券の利回り:中央銀行の政策金利)」と「長期金利(1年以上の債券の利回り:一般的には10年国債利回りが代表的)」の2種類になります。
短期金利とは、市中(市場)金利(金融機関同士の取引で使われる金利)とほぼ同様で1年未満の債券の利回り(金利)のことをいいます。こちらは政策金利と言われており、中央銀行(アメリカ:FRB連邦準備銀行)が決めることができコントロールが可能です。
長期金利とは、1年以上の債券の利回り(金利)のことをいいます。一般的には10年国債利回りが代表的です。こちらは、市場の期待値(投資家による債券売買の需給期待)によって決まるためコントロールすることはできません。
金利をコントロールすることは、ある意味我々の生活をコントロールすることにもなります。例えば、個人であれば、1年~3年程度の住宅ローン金利であれば、高くなったり、低くなったりと影響しますし、飲食店を経営している小規模会社であれば、直近の経営がうまくいってない状況では金利が安ければ借りることができ、そのお金で引き続きお店を運営していくことができます。
つまり、金利が我々の生活を良くも悪くもするので中央銀行はとても慎重かつ緊急時には大胆に判断し、決めていくわけです。本来は市場の需給関係で決まるものをあえて、コントロールするわけですからその力は大きなものだと言えるでしょう。
金利はどのように株価に影響を与えるのか?(不景気予想の場合)
では、金利はどのように株価に影響を与えるのでしょうか?
不景気になると予想できる場合と、景気が良くなると予想できる場合に分けて考えてみたいと思います。
■不景気予想の場合
景気が悪くなると、モノやサービスが売れなくなり経済が縮小します。経済が縮小するのを防ぐために中央銀行は、景気を回復させるための対策を取るのですが、その対策として最もインパクトが大きいのが、金利を引き下げること(利下げ)です。
利下げによってお金が借りやすくなりので、企業の設備投資が増え、個人が住宅や車などを買いやすくなり、景気が良くなるのではないかと考えるのです。
株価にはどのような理由で影響を与えるのでしょうか?
1.中央銀行による「利下げ」が発表されると、生活圏や商業面が活性化すると予想できるため、今後は個人消費も増え企業業績も良くなるのではないかと考える投資家が増え、株は買われやすくなる(リスクオン的な考え)
2.金利が下がると定期預金や国債の利回りも下がってしまいますので、「金利が低いなら株式を買った方がいい」と考える人が増える。(リスクヘッジ的な考え)
2020年3月のコロナショック時には、米政策金利(短期金利)を1%ほどFRBの中央銀行は利下げを躊躇なく決断しました。つまりこれは1年間は景気が悪いということを予想して短期的に金利を強制的にコントロールしたのです。(下記の図は米国の10年債金利の推移になります)
その後は株価(S&P 500)への影響はどうなったのでしょうか?
2021年3月で、1年間でおよそ、+30%の伸びで株価は上がったのです。
金利が大きく下がった段階のことを金融相場といいますが、まさに2020年3月からは金融相場となり、現金を持つにもその価値はさがっていくことや、ロックダウンによりお金の使い道が限定されたことで、資産が増えてしまって株式市場に向かって株が大きく買われやすくなったといっても過言ではないでしょう。
金利はどのように株価に影響を与えるのか?(景気上昇期待の場合)
さて、一方で、景気が良くなると期待される場合にはどうなのでしょうか?
■景気上昇期待の場合
市場関係者が景気がよくなると期待できれば、その期待で金利は上がっていきます。それは、お金を貸す側が世の中の企業の設備増強のためにより資金需要が増えて、個人消費が活発化すれば、お金が必要になるだろうからお金の価値が高いので貸すなら金利を高くしようとするためです。
ここでの中央銀行の介入はすぐに出てはきません。何もしなくても金利は上がるので静観します。
ただ、景気が良くなり過ぎるのも問題であり、景気が良くなるとモノやサービスの価値が高くなるので、物価も上昇するのですが、景気が過熱し過ぎるとバブルを生じ、崩壊時の反動が大きくなってしまいます。そのことからある時点からは中央銀行は利上げと呼ばれた政策を実施してゆきます。
株価にはどのような理由で影響を与えるのでしょうか?
基本的には、景気が良い時というのは、企業の成長が見込めるので、株を買う投資家が増え株価は上昇基調にあります。しかし中央銀行による「利上げ」が発表されると、「今後は個人消費が鈍化し、企業業績も低迷するのではないか」と考える投資家が増え株が売られやすくなります。
金利が上昇していくステージでの株式投資は一般的に難しいと言われています。上昇の幅次第で、個人消費を冷やす効果(最も影響を受けるのは住宅購入等)につながるため企業業績が低迷する可能性が大きくなり、それに先んじて株価も低迷しはじめるからです。
まとめ:【金利】の動向は株式投資において最も注目すべき指標である
さて、ここまで金利というものがどのように株価に影響を与えるのかについて話をしてきました。
1.金利とは預金や貸付に対する利子のこと
2.好景気の時は、お金の需要が高いため、貸し付ける側の銀行も資金需要あり。
お金を貸し付ける利子=金利も高くなる→金利は上昇
3.不景気の時はお金の需要が減るため、貸し付ける側の金融機関はお金を借りてくれないと商売にならない
お金を借りてくれるひとを増やすために、金利をどんどん低下→金利が低下
4.金利は、「短期金利」と「長期金利」の2種類
短期金利は、コントロールが可能。
長期金利は、市場の期待値(投資家による債券売買の需給期待)によって決まる。
5.不景気のときに金利が与える株価への影響
・中央銀行による「利下げ」が発表
→生活圏や商業面が活性化すると予想
→今後は個人消費も増え企業業績も良くなる
→株は買われやすくなる(リスクオン的な考え)
→定期預金や国債の利回りも下がり、「金利が低いなら株式を買った方がいい」と考える人増加(リスクヘッジ的な考え)
6.好景気のときに金利が与える株価への影響
・基本的には、景気が良い時というのは、企業の成長が見込めるので、株を買う投資家が増え株価は上昇基調
・しかし中央銀行による「利上げ」が発表される
→「今後は個人消費が鈍化し、企業業績も低迷するのではないか」と考える投資家が増え株が売られやすい。
→ 株価低迷
・株は常に、経済状況の中で動いていることもあり、今どういった相場にいるのかを常に意識する、立ち位置を意識して株式投資をすることが極めて重要であると思います。
・景気、不景気によって状況は大きく変わるため、金融相場なのか、業績相場なのか、その時々によって株式投資スタイルを変えていかなければうまく資産を増やすことはできない。
・経済の動きは、世界的事件の動き、それに対する国や政治の動き、中央銀行の動きなどつぶさに観察をしていくことが大事
・コロナショックからの利下げ発表、ワクチンによる収束予測からのテーパリング開始などのイベント時に大きく株価は動き予想できるのでそこで投資をして仕込むかどうかなどを考えることが可能です。ぜひ今後の金利動向を見極めながら投資活動していくことをお勧めします。
本日も最後までご覧いただき、ありがとうございました。