がん保険。TVCMで頻繁に取り上げられることもあり、周りの人が重病になったことを聞いてなんだか不安になる日々。一方で、日本には充実した医療制度(高額医療制度、傷病手当金等)があることもあり不要だと考える方も多いかと思います。
この記事では、がん保険に入ることが目的ではなく、日本が支えてくれる医療制度を理解しつつ、自分の実態を把握することで、自分にとって何を守りたいのかを熟慮した上で結果として皆様ががん保険に入るかどうかを検討できるお話をしたいと思っています。
がん保険 40代になった私は必要でした
1.がんの実態は?(がん死亡率、がん罹患率)
■3.7人に1人はがんで死亡
厚生労働省の政府統計「令和元年(2019年)人口動態統計月報(https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/geppo/nengai19/index.html)」によれば、
令和元年の全死亡者に占める割合は 27.3%であり、全死亡者のおよそ 3.7 人に1人は悪性新生物<腫瘍>(=がん)が死因となっている。
全死亡者の3.7人に1人はがんで死亡ということで、あながち3人に1人はガンで死亡するというお話は嘘ではないほぼ事実に近いということがわかりました。
■がんの死亡率の増加割合は?
また現在、死亡者数は37万人達していて一環して上昇していることがこのグラフからわかります。
1980年あたりから一貫してがんが最も病死亡者数が多いことがよくわかりますね。
しかもずっと伸び続けていることからもますます死亡原因の中では大きな割合を今後も占めていくことになるのでしょう。
■性別・年齢別でのがんで死亡する死因構成割合は?
ちょっとわかりずらい図であり、解釈が難しいのですが、男女の年代別の死因の構成割合を見ると男性は、がんが原因で死亡する割合は、65歳~74歳付近がピークであり死因の40%~50%が がんで死亡。女性は55歳から59歳がピークで死因の50%~60%でがんにより死亡となっています。
■詳細な年齢別の死亡原因のTOP3について(死亡数・死亡率(人口10万対),性・年齢(5歳階級)・死因順位別 [147KB]より)
この表を見ると40歳以上から死亡原因の1位は「がん」であることがわかります。(男性は45歳から1位(死亡者数2019人)、女性は30歳から1位※(死亡者数305人) ※死亡者数が1000人を超えるのは40歳以上になってから)
■2人に1人はがんになる(がん罹患率)
国立がん研究センターがん情報サービス(https://ganjoho.jp/reg_stat/statistics/stat/summary.html)の情報(2018年統計データ)によれば、生涯でがんに罹患する確率は、男性65.5%(2人に1人)、女性50.2%(2人に1人)となるそうです。つまり2人に1人はがんにかかる可能性があるということですね。
さらに、年齢別のがん罹患リスクについて調べてみると、男性は50歳で10年以内にがんにかかる確率は5.4%、女性は50歳で10年以内にがんにかかる確率は6.6%とのことです。
この表からがんになる確率は生涯において50%(2人に1人)を超えるが、40歳が10年以内にがんにかかる確率は5%以下(20人に1人程度 男性1.6%、女性4.1%)、50歳が10年内にがんにかかる確率は7%以下(14人に1人程度 男性5.4%、女性は6.6%)と低い。
2.がん保険とは?
がん保険とは、「がんにかかった場合のお金の負担をカバーするための保険」です。
貯蓄性のない掛け捨ての保険のため、一般的に保険期間満期を迎えたとしても満期保険金などは受け取れませんし、途中で解約したときに受け取れる解約返戻金も全くない(0円)か、あっても少額です。
通常の医療保険はすべての病気や怪我が給付対象であり、給付金を受け取れる人は多いので一人当たりの給付金は少ないです。しかしがん保険であれば、がんの時のみが給付対象ですので受け取れる給付金額は大きいのがメリットかと思います。
がん保険の給付金には「診断給付金、入院給付金、通院給付金、手術給付金、放射線治療給付金、抗がん剤治療給付金、先進医療給付金」等があります。
様々なものがありますが、ここでは最も重要な給付金の2つに絞ります。
1.「診断給付金」(一時金として30万~300万程度まで)
がんの治療は日々進化しており、それに伴って治療方法も変化したり多様化しています。特に最近では入院日数が減少傾向にあります。それどころか入院をせずに通院だけで治療するケースも増えています。その中で、診断給付金は、その後の治療方法にかかわらず診断された時点で受け取れるため、空振りがありません。がんは治療開始初期の段階でまとまったお金が必要になるケースが多々あります。病院によっては入院前に前金が必要なところもありますし、そもそも診断されるまでの検査等でも相当な費用がかかります。診断給付金はそれらに充てることも可能です。
2.「先進医療給付金」(最大で2000万~1000万程度)
先進医療給付金は文字通り、先進医療を受けた時にその費用分のお金を受け取ることができる給付金です。通常は、がんの基本契約に対して特約としてつけるものであり、先進医療特約は費用対効果の高い特約になります。
がんについては様々な先進的な治療をする必要があることが多く、例えば、重粒子線治療(295万)、陽子線治療(268万)、自己腫瘍をの用いた活性化リンパ球移入療法(128万)等があります。
先進医療の技術料には健康保険が適用できないので、患者が費用の100%を負担しなければならなくなります。
がん保険は、がんに特化したいるからこそ、給付金額が大きいです。そして、給付金として用意すべきは、診断給付金や先進医療給付金(特約でも)の2つがあれば基本的には十分かと思います。がんになった際には命を守るためにもどんな治療もしたいと願うはずですから100%保険適用外となる先進医療給付金は必ずもらえるようにしておくべきだと思います。
3.国の制度(高額医療制度、傷病手当金、介護保険)があなたを支える
日本には、大きな病気や怪我をした際に社会保険や国民健康保険に入っていることで費用が高額になりすぎないようなセーフティネットのような制度がいくつか存在しています。
・高額医療制度
医療費が高額になってしまった際には高額医療制度を利用することで一定額を超えた費用は戻ってきます。例えば、医療費が100万円だった場合には自己負担部分(保険適用の3割部分)が30万円の場合、212,570円が高額療養費として支給され、自己負担額は87,430円(70歳未満の給与所得者で標準報酬月額28万円以上50万円以下の場合)ですみます。
・傷病手当金
会社員や公務員であれば、入院などで仕事を休んだときに給料が支払われなくても、健康保険から給料の約3分の2である「傷病手当金」が最長1年6か月間もらえます。給料が支払われる場合でも、傷病手当金の額より少ない場合はその差額がもらえるのです。
・介護保険
40歳以上の人が末期がんになり介護が必要になってしまった場合は、公的介護保険の介護サービスを自己負担1割で利用できます。
公的な国の保険制度により、大きな病気による費用の発生と会社を休むことで支払われない給料の補填があることは本当に大きいですよね。最低限の入院費や一般の手術代金(先進医療、自由診療は除く)を最低限レベルまで落として不安を解消できることはなにより安心できる部分だと感じられます。
4.がん保険のメリット・デメリット
さて、ここまで多くの話をしてきたこともあり、一旦がん保険のメリット、デメリットをまとめたい思います。
さて、ここまでメリット・デメリットを並べてみるとかなり拮抗している気がするのは私だけでしょう(笑)実際は、がん保険に入るデメリットを見ればわかるようにがんになる確率は低い(40、50才で10%未満)上に、公的な保険制度でかなり助けられるので不要であるという結論!?になるのでしょうか。
結論:自分の年齢と家族形態と性格を並べて、その危機が起こった時にどうなるのかを想像しよう。
私の体験談~生活が破綻する前に精神が崩壊しないように~
まずは今の自分の年齢とそして家族の形態(パートナー、子供、ご両親等)を思い浮かべてください。また自分(パートナーも含めて)の性格として危機が発生したときにどのような状態になるのかを過去の事例から考えてみましょう。その想像をした上で、”今どうありたいのか?”を考えればおのずと結論は導き出されるのではないでしょうか
40歳が10年以内にがんにかかる確率は5%以下と言われています。つまり発症する可能性は極めて低い。ではなぜ私が、がん保険にはいるのかといわれれば、それは安心感を超えてがんになる可能性はいつでもある「危機感」を40代から常に感じ備えるためだと私は考えています。
私の体験談を話せば、私自身は病気ではないのですが、大きな怪我をして病院に2か月ほど入院(手術)した経験があります。当然、突然のことなので、頼る人がいない上に医者の言われれるがままになり、いつ回復するのかも見えない強く不安にかられる経験をしました。つまりあらかじめそのことについて考え、心構えがない状態ですと、生活維持の前に、大きなショックで一時的にでも精神が破綻しかけてしまう可能性があったのです。毎月お金を払うことで実際に意識すること、そしてそうならないためにどう普段の生活を過ごすべきかを考えることこそが私にとっては、重要なのではないかと考えています。