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「インフレ期待の中で上昇するセクターを知りたいと思っている方」
「脱炭素と言われている中で石油、ガスなどの炭素資源の可能性があるのか知りたい方」
「エネルギー需要の高さを背景に資産を大きく伸ばしたいと考えている方」
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ここ数年は、脱炭素という流れでヨーロッパ、アメリカ、中国と大国が二酸化炭素排出を抑ようとしている中で、石油?石炭?ってオワコンじゃないの??
石油、石炭、ガス等のエネルギー消費量は、現在エネルギー全体の80%以上と最も必要とされているエネルギー源になっています。脱炭素、二酸化炭素抑制の流れはすぐに起こる話ではなく、これから数十年以上かかって変わる変化であり、実現にはまだほど遠い話です。今回は必ず必要となるエネルギーETFである「VDE」をご紹介します。
脱炭素の流れは遅く、石油石炭の需要の高さはますます高まる
2021年11月に開催された温室効果ガス抑制に関する会議で以下のような宣言がございました。
モディ首相、2070年までの温室効果ガスの排出量ゼロを宣言(インド)
ー2021年11月1日COP26 国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議にてー
日本や米国、EUは2050年、中国、ロシアは2060年と温室効果ガスの排出量ゼロを宣言しました。これは今から30年後、40年後、そしてインドのような発展途上国は50年後の話をしています。つまり、脱炭素の流れはあるもののまだこれからずっと先の話をしており石油依存はそれまで続くことを意味しています。脱炭素の流れは長期的でゆっくりなのです。
下記は、 経済産業省 資源エネルギー庁のHPより抜粋しましたが、1965年~2019年までの世界のエネルギーの消費動向に関する各資源の割合を表しています。
2019年で石油27%、石炭33%、ガス24%と合計すれば84%と大半が現存する資源エネルギーに依存している状況です。むしろエネルギー需要は全体として伸びるばかりで資源エネルギーへの必要性も拡大しているのです。
温室効果ガス抑制に関する会議 (COP26)での決議はまだ宣言を始めたばかりのことで、これから再生エネルギーを拡大していくわけで30年、40年、50年後の話をしています。一方で足元を見れば、エネルギー需要は増えるばかりで資源エネルギーの活躍はまだまだ私たちが生きている中では必要不可欠なもなのです。
より詳しくエネルギー業界について知りたい方は下記の記事を合わせてご覧ください。
次にそんなエネルギー需要の強さを反映した米国の代表的なETFであるVDEについて解説をしてきたいと思います。
VDEとは?米国エネルギーETF
VDEとは、バンガード・米国エネルギー・セクターETFといい大中小型の95銘柄に投資をするETFになります。
概要:VDE
設定日:2004年9月29日
純資産額:61億ドル
経費率:0.10%
配当利回り:3.65%
セクター別割合:石油・ガス関連(精製、生産、運輸、機器等)で99%近くを占めていますね。再生エネルギーはほぼないといってもよいでしょう。
組入銘柄割合:エクソンモービルが20%、シェブロン16%と大手石油会社2社が36%を占めています。TOP10で65%とのことで、95銘柄あるうちの10銘柄で半分以上は占めています。そこまで分散されているとはいえず、むしろTOP10に集中していますね。
VDEの構成銘柄の4割弱が大手石油会社のエクソンとシェブロンであるのでこの2社の株価に大きな影響を受けやすいですね。VDEについては、この2社の業績動向については注目すべきところかと思います。
VDEのメリットとデメリット
次にVDEのメリットについてお伝えしたいと思います。
VDEのメリット
下記は、VDEの2021年の年初から11月までの株価パフォーマンスを表した株価チャートになります。
VDEは2021年の当初から11月まで+56%のハイパフォーマンスを出しております。(S&P500の代表であるSPYは+27%)
2020年の11月頃にコロナワクチンが入り、2021年以降はワクチン接種が進んで経済再開の動きが大きく進み物価が上昇しはじめて移動によるエネルギー需要が急拡大しました。インフレ時には経済が活性化するため移動によるエネルギーも増えて需要が高まるため大きなパフォーマンスUPが見込むことができます。
下記は、米国の11セクター全部を2021年当初から11月までを並べてみた株価チャートになります。
この株価チャートから、2021年はVDEが圧倒的にNo.1の上昇をしておりパフォーマンスを出していることがよくわかります。
インフレ時に最も注目すべき米国指標である「CPI」について詳しく知りたい方は下記を合わせてご覧ください。
VDEは高配当銘柄で有名なエクソンモービル(6%台)、シェブロン(5%台後半)といった企業が入っていることで配当率が高い設定となっています。エネルギー上昇局面ではキャピタルゲインはもちろんのことインカムゲインもあるのは魅力的ですね。
逆にVDEのデメリットについてお伝えしたいと思います。
VDEのデメリット
下記は2020年の1年間(2020年1月~2020年12月)の各11セクターの株価チャートになります。
コロナショック時にはコロナ前に比べて全セクターで最も下落率が高い▲62%と大きく暴落しています。またその後のコロナショック後においても株価はなかなか上がらず、1年9か月間かけてコロナショック後の株価に戻ったという状況でした。
成長というと、ついグロース株に注目が行き、情報技術セクターに目がいきがちですが、2021年は圧倒的にVDEがパフォーマンスを出しています。 成長するといっても相場状況によりけりであり、このようなインフレで物価価値が上昇しているタイミングはエネルギーは大きな力を発揮することは覚えておいて損はないでしょう。
VDE(バンガード社)とXLE(ステートストリート社)、IXC(ブラックロック社)の比較
VDE(バンガード社)と同じエネルギーETFのXLE(ステートストリート社)、IXC(ブラックロック社) がございます。運用会社が違いますが、それぞれに大きく違いもあり注目です。
VDE | XLE | IXC | |
運用会社 | バンガード社 | ステートストリート社 | ブラックロック社 |
設定日 | 2004年9月29日 | 1998年12月22日 | 2001年11月16日 |
純資産額 | 61億ドル | 270億ドル | 19億ドル |
経費率 | 0.10% | 0.12% | 0.43% |
構成銘柄 | 95銘柄(大中小型) エクソンとシェブロンで36%。TOP10で65%占有 | 23銘柄(大型のみ) エクソンとシェブロンで43%。TOP10で75%占有 | 52銘柄 エクソンとシェブロンで25%。TOP10で58%占有 |
・XLEはVDEやIXCよりも設定日が最も古く、また純資産額が圧倒的な規模(270億ドル)となっています。
・VDEは最も構成銘柄が多いですが、とはいえ、TOP10が65%以上のため上位銘柄の割合からすれば、XLEやIXCとほぼ変わらない対象銘柄となっています。
・経費率の安さでいえば、VDEが最も安い0.10%の経費率です。
エネルギーセクターは寡占化(大手メジャー石油会社で占有)しているため新規参入する等はなく、大手の方が収益が安定しており、大きな収益を得ている可能性が高いです。その意味では石油セクターに限っては分散投資の意味があまりなく、XLEが23銘柄に集中投資していることで効率的なセクター投資ができる可能性が高そうですね。
VDEのレバレッジ2倍ETF「ERX」のご紹介
VDEのレバレッジを2倍かけたETFとして人気の「ERX」というエネルギーレバレッジETFがございます。エネルギー需要による株価上昇によるキャピタルゲインを大きく獲得したい方はぜひ合わせてご検討ください。
まとめ:エネルギーは発展途上国では爆発的に利用される需要はこれから来る!
ここまでVDEについて話をしてきましたので最後にまとめたいと思います。
・ 脱炭素の流れは遅く、まだ今から30年~50年はかかる。その一方で石油石炭の需要の高さは全エネルギーの80%以上を占めており、その消費量の大きさは年々拡大している。
・ VDEとは、バンガード・米国エネルギー・セクターETFといい大中小型の95銘柄に投資をするETFになります。
・VDEのメリットは インフレ時には大きな株価上昇を見込むことができる(2021年の年初より+56%のパフォーマンス) インフレ時には米国全セクターの中でエネルギーが上昇率No.1になる可能性が高い。 また3%台の高配当。
・VDEのデメリットは、 〇〇ショック時の暴落に弱く、金融相場下では停滞し、戻りが遅い。 コロナショック時の暴落率No.1。
・ VDE(バンガード社)と同じエネルギーETFのXLE XLE(ステートストリート社)、IXC(ブラックロック社) を比較すると、VDEは経費率が一番安いが、エネルギー業界は寡占化で大手のみを対象とするXLEのほうが総資産額も大きく投資対象としては向いていると考えられる。
石油、石炭、ガスといった天然資源はモノを作るのにも、機会を動かすにも必要な存在であり、またそのこれら炭素エネルギー効率は再生エネルギーの効率よりも何倍も大きいです。現代においてはまだまだ必要不可欠なんです。そして先進国がこの炭素エネルギーの抑制に動こうともまだこれから発展が見込まれる発展途上国にとっては爆発的に利用される需要があります。
ぜひエネルギーセクターの動きをみつつも需要が見込まれるタイミングでは投資の機会をご検討ください。
本日も最後までご覧いただき、ありがとうございました。